高齢者はなぜ低栄養状態に陥りやすい?食事サービスで解決できる?
高齢化が進むと同時に、最近では高齢者の栄養状態が課題となっています。食生活が単調になりがちな一人暮らしまたは高齢夫婦だけで生活している高齢者が、深刻な低栄養状態に陥ってしまっているのです。今回は、低栄養になってしまう原因や体への影響、低栄養を防いで健康な体を保つための食事についてまとめました。
低栄養状態になってしまうとどうなるの?
高齢者が陥りやすい低栄養とは、どのような状態なのでしょうか。また低栄養状態になってしまうとどのような影響があるのでしょうか。まずは低栄養の意味や影響について説明します。
低栄養はどのような状態?
人が健康に暮らしていくためには、食物からの摂取する栄養素が欠かせません。具体的にはエネルギーやタンパク質、脂質、ビタミンやミネラルなどの栄養素が必要ですが、この栄養素が充分にとれていない状態が低栄養です。食物の豊富な日本では無縁なことのように思えますが、高齢者の低栄養は意外と多く、令和元年に行われた「国民健康・栄養調査」では65歳以上の約17%、85歳以上の約23%が低栄養状態に陥っているという結果が出ています。
低栄養による影響とは
高齢者が低栄養状態に陥ると、元気や食欲がなくなる、体重が減少し筋力が低下する、風邪をひきやすく治りにくい、傷や床ずれが治りにくい、下半身がむくむ、脱水症状が出るなど、深刻な症状が現れます。一度低栄養状態に陥ると、食欲が落ちさらに低栄養が進行していくという悪循環につながってしまうことも多いのです。病気や怪我が増えることで日常生活に支障をきたすケースもあり、心身ともに弱ってしまい一気に要介護状態になってしまう恐れもあります。
高齢者が低栄養になりやすい原因
85歳以上の約5人に1人が陥っている低栄養状態ですが、なぜ高齢者は低栄養になりやすいのでしょうか。考えられる原因は以下の3つです。
体力の低下で食事が面倒になる
高齢になると体力の低下や足腰の痛みなどのために、買い物や料理が面倒になりがちです。調理が億劫で簡単なもので済ませたり、同じ食事を続けたりすることも増えるでしょう。そのため、栄養バランスの悪い単調な食生活を招きやすくなります。
家にこもりがちで食欲が低下する
仕事を引退して外出の機会が減るため、運動不足につながります。活動量が足りないとどうしてもお腹がすかず、食事量の減少につながってしまうのです。また、社会的な孤独感や経済的な不安も食欲の低下につながるといわれています。とくに一人暮らしや高齢夫婦2人だけで暮らしている場合は気持ちがふさぎやすく、食生活がおざなりになってしまう傾向もあるので注意が必要です。
食事で健康な体をつくることが大切!
では、とくに栄養に気をつけたい高齢者には、どのような食生活が理想的なのでしょうか。心身の健康を保つための食事のポイントを紹介します。
栄養バランスのよい食事を心がける
まずは栄養バランスを意識しましょう。調理が面倒だとついおにぎりやパンで済ませてしまいがちですが、肉や魚、野菜を含んだおかずをしっかり食べることが大切です。3回の食事のうち2回は、きちんと主食・主菜・副菜のバランスがとれた食事をとることが推奨されています。とくに、低栄養を防ぐタンパク質、骨粗しょう症を予防するカルシウム、免疫を整えるミネラルを意識して摂取するとよいでしょう。
3食しっかり食べる
高齢者は1回の食事で食べられる量が少ないので、1日3回はしっかり食べる必要があります。3食とらないとエネルギーやタンパク質が不足してしまい、低栄養に陥りやすくなります。1食分が食べきれないという場合には、間食で補うとよいでしょう。タンパク質を多く含むヨーグルトや牛乳、ビタミン豊富な果物などがおすすめです。栄養補助食品などを取り入れてもよいでしょう。
おいしい食事を楽しく食べる
生活の変化が少ない高齢者にとって、食事は栄養のためだけでなく、食べる喜びや楽しみを感じるためにも重要です。和食・洋食・中華と味にバリエーションを持たせたり、季節の食材を取り入れたりと楽しみながら食べられる工夫をするとよいでしょう。味が薄いと思われがちな減塩食はお酢やスパイスで風味をつけ、嚥下能力を考慮した食事であっても見た目の美しさを工夫するなど、食欲をそそる仕掛けが大切です。
高齢者向けの食事サービスを活用しよう
しかし、このように栄養バランスの取れた食事を工夫しながら毎日作るのは、元気な若い人であってもかなり大変です。高齢者だけで暮らしている世帯ならなおさら負担がかかるでしょう。そこでおすすめなのが、高齢者向けの食事サービスです。高齢者向け食事サービスなら、栄養バランスに優れたおいしい食事を毎日届けてもらえます。食事の準備・片づけといった手間もなく、おいしい食事で栄養を補えるので、低栄養状態に陥る心配もありません。減塩や糖質制限などの健康状態に合わせたメニューも頼めるので、食事で健康な体をつくりたい方にもおすすめです。
まとめ
「食事を作るのが面倒」というのは誰もが思い当たる節のあるありふれた状況ですが、ちょっとしたきっかけで低栄養という悪循環に陥ってしまう危険があります。高齢者向けの食事サービスなら、見た目も美しく栄養バランスにもすぐれた美味しい料理を、食べたい時間に家に届けてもらえます。健康な生活を送るためには、しっかりした食生活が欠かせません。食事の準備をするのがつらい日が増えたという方は、食事サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。