病気に気づきにくい「すい臓」!すい臓によい食べ物とは?
すい臓は肝臓と同様に「沈黙の臓器」であるといわれています。近年では急性すい炎、慢性すい炎、すい臓がんなどの病気が増加しています。初期症状があまりなく、気づいたときには手遅れという状況をできるだけ避けるためにも、未然に予防することが大事です。まずはすい臓によい食べ物を知り、日常から予防に取り組んでいきましょう。
すい臓はどのような働きをするのか
すい臓は胃の裏側にあり、大きさは約20センチ、重さは80~120グラムと、ほかの臓器と比べるとかなり小さな臓器です。バナナのような形をしていて、すい臓が働いているときはピンク色に変わります。また、たらこのように柔らかい臓器でもあります。
すい臓の役割
すい臓は大きく分けて2つの役割を担っています。
1つは食べ物を消化するのに必要な消化酵素「すい液」をつくって十二指腸に分泌すること
2つ目は血液中の糖分を調節するグルカゴンとインスリンのホルモンをつくって血液の中に送り出すこと
すい臓の機能が低下し、消化液の分泌が少なくなると消化不良になり、またインスリンの分泌が不足すると糖尿病になることもあります。
すい臓にまつわる病気
代表的な病気としては急性すい炎、慢性すい炎、すい臓がんなどがあり、ここ近年すべての病気においてかかった人が増加しています。初期の症状がほとんど見られず、すい臓がんに至ってはほかのがんと比較すると生存率がかなり低いことから「沈黙の臓器」ともいわれます。すい炎については、大人の男性がかかる率のほうが女性より高く、また飲酒量が多い人、喫煙する人が多いのが特徴で、食事を含めた生活改善が主な治療方法となります。またすい臓がんの主な原因としては喫煙や肥満、糖尿病や遺伝などが挙げられています。
すい臓によい食べ物とは?
すい臓に関わる病気の原因を見ていくと、ふだんの食事や生活から予防できるものがありそうだということが分かっていただけると思います。ではすい臓に負担をかけすぎないためにはどんなものを食べたり飲んだりするのがよいのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
消化のよいもの
消化液を多く分泌させない食べ物を選ぶことが重要です。主食であればお粥やうどん、魚は白身魚や鮭、低脂肪牛乳や豆乳、お肉であれば鶏肉やヒレ肉などです。ほかには芋類や卵、かぼちゃ、なす、大根、りんご、ほうれん草、人参です。お菓子であれば脂質の少ない和菓子、蒸しパン、カステラ、ヨーグルトがおすすめです。またジャム、はちみつ、果物なども消化に時間がかかりません。
脂質が少ない食べ物
脂質の多い物を食べると、消化酵素を含むすい液の分泌を促すため、すい臓にかかる負担が大きくなります。そのためできるだけ低脂質の食材を選ぶようにしましょう。具体的には鶏のささみ、卵白、豆腐、白身魚などが挙げられ、1日に摂取する脂質の量は25~50g程度を目安にするとよいでしょう。ただし極端に脂質を控えると脂溶性ビタミンが不足してしまうため、ビタミンA、D、E、Kなどを含んだ緑黄色野菜を食べて補うようにしましょう。
気をつけたい食べ物
不溶性食物繊維が多い食べ物は消化時間が長くかかるので、小さく切ったり、量を控えたり、よく噛んだりするなどして食べましょう。たけのこ、ごぼう、れんこん、こんにゃく、豆類、海藻、きのこなどが挙げられます。果物で気をつけたほうがいいのは梨、柿、パイナップル、ぶどう等です。また高脂質の食べ物も消化に時間がかかります。バラ肉、ラーメン、スナック菓子、洋菓子、脂肪の多い魚、揚げ物、バターなどは控えるようにしましょう。
アルコールを控える
急性・慢性すい炎になる原因としてもっとも多く挙げられるのがアルコールです。まずはお酒の量を減らしましょう。
刺激物は控える
刺激の強い食べ物はすい液の分泌を促すことにつながります。香辛料や塩分、カフェインのとりすぎには注意しましょう。
おすすめの調理方法
できるだけ弱火で調理すること、そして揚げたり炒めたりするよりも、じっくり煮たり、茹でたり、すりおろしたり、蒸したりする料理がおすすめです。食材はできるだけ消化しやすいように小さく切るようにしましょう。
腹八分目&食事のバランス
食べすぎると肥満につながり、すい臓にも負担がかかります。またすい臓にいいからと極端に走らず、いろんな栄養をもつ食べ物をまんべんなく食べることもお忘れなく。
食生活以外の注意点
食生活はとても大事ですが、それを整えるだけで病気にならないわけではありません。より効果的に予防を行うには、ふだんの生活スタイルも大事になってきます。以下のことを念頭に置きながら、日々の暮らしを整えてみましょう。
喫煙
すい臓がんになる原因として、アルコールに次いで多いのは喫煙です。タバコはすい臓に大きな負担を与えるので、できるだけ控えるようにしましょう。
規則正しい生活と充分な睡眠
規則正しい生活をすると、消化を分泌するタイミングも安定するため、すい臓への負担も少なくなります。また朝昼晩の3食をできるだけ同じ量にすることで、分泌も一定量を保つことができ過度な負担がかかりません。またすい臓をきちんと機能させるためにも、充分な睡眠が欠かせません。疲れを溜めないためにも、しっかり休むことを忘れないようにしましょう
適度な運動とストレス
慢性膵炎や糖尿病はストレスとの関連性が認められています。またストレスが溜まると身体全体の機能も低下するため、適度に運動をして汗をかいたり、自分にとって楽しいと思えることを行ったりしてストレスを発散するようにしましょう。
まとめ
今回はすい臓の役割など述べるとともに、すい臓にまつわる病気のリスクをできるだけ回避するためにできることをお伝えしました。しかし「こうしなければ」と思うと窮屈に感じてしまうものですよね。「より健やかに長生きできるように」といった気持ちで、大らかに取り組んでみることをおすすめします。できるだけ気持ちのいい日々を過ごせるように楽しく工夫しながら予防しましょう。